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投稿日:2021年08月06日(金)

卒業生の声  井上航さん

【卒業生の声】 

遠い宇宙の探索を可能にするエンジンの研究とは!?

九州大学大学院 航空宇宙工学部門

井上航 さん

 

―― 本日は佐世保高専・機械工学科を2017年に卒業した井上航さんにインタビューを行いました。井上さん、よろしくお願いいたします!

 

よろしくお願いいたします!

 

<大学での宇宙分野の研究について>

―― 井上さんは現在、九州大学大学院 航空宇宙工学部門 で研究をしておられます。どのような研究をされていますか?

 

私は現在宇宙関係の研究をしております。この記事を読まれている方も「はやぶさ」についてのニュースを見たり聞いたりした方もおられると思いますが、この「はやぶさ」のような小惑星探査機についての研究です。

 

電気推進の研究をしている井上さん

 

―― 宇宙に関する研究と聞くだけでなんだか心が躍りますね!

 

はい!もう少し詳しく話しますと、こうした宇宙ロケット等の長距離探索用小型衛星に利用されている、電気推進という技術に関する研究です(※イオンを後方に放出することで反作用により推進力を得るエンジン機構)。この仕組みについては、まだまだ発展中の技術のため、解明されていないことが多い分野なのです。

 

―― おもしろうそうですね!電気推進とはどのようなものなのでしょうか?

 

まず電気推進はこれまでのエンジン機構と比べて燃費がすごく良い技術です。ロケットは宇宙空間に行ったあとに衛星自身が遠くまで移動する必要があるので、燃費が良いほどそれに適したエンジンといえます。電気推進にもさまざま種類があり、私たちの対象としている推進技術は「はやぶさ」のものとは少し異なります。

一般的にエンジンは小型であればあるほど燃費は悪くなり、電気推進の場合はそれが顕著に表れるのですが、研究対象であるエンジンは、サイズを小さくしても燃費が保たれることが分かりました。こうした技術が今後の遠い宇宙を探索するミッションに使用されればと考えています。

 

―― こうしたことを可能にした秘訣はなんなのでしょうか?

 

衛星の推進機であるイオンスラスターの中では電場と磁場が構成され、そこでプラズマを発生させて推進力を得ます。こうした電磁場をシミュレーションする際、従来は“マクスウェル方程式”という式を解いて実行するのですが、この方法はコストも時間もかなりかかります。一方、私たちの研究では、機械学習を用い、簡単な関数に置き換え(サロゲートモデリング)、繰り返し計算をさせる、「遺伝的アルゴリズム」という手法を用いて行っています。最近発達してきたコンピューターにものすごい大量の計算をさせることでより速く、精度もよい計算を実施できるようになったのです。

 

―― 計算機の進化がこうした宇宙の研究に役立てられていることを知り、驚きました!

 

実際に宇宙空間の中でエンジンの実験を行うにはコストも時間も相当かかります。それを高性能なシミュレーションでエンジンの燃費を向上させる方法を明らかにすることで、宇宙探索分野がより効率的に進むということです!

 

――非常に魅力的な研究であることがわかりました!井上さんが感じる研究のやりがいとは何でしょうか?

 

やはり、誰も知らないことを発見できる点ではないでしょうか。この分野が発達すれば、より宇宙の遠くまで探索が進み、さらに新しいことが分かるのではないかとわくわくしています。

 

<佐世保高専・機械工学科について>

―― こうした大学での研究生活を送る中、佐世保高専・機械工学科(以下、機械科)で学んできたことで役立ったことはありますか?

 

機械科に入って一年生からしっかりした実践的教育を受け、その中で論理的思考が染みついていることが現在になって役立っていると感じています。高校から大学に行った人たちは高校の数学や物理など基礎がしっかりできている方が多いのですが、高専出身の方々はそれに加えて実践的な実力がついていることが強みかなと感じております

 

 

佐世保高専の体育祭のときに撮影した写真

 

―― そうなんですね!どういう授業を通してそのような実力をつけたのですか?

 

まず佐世保高専の機械科では、溶接、鋳造、旋盤などの実習を通して、自分の手でもの作りの実力や知識がついたと思います。こうした実習と並行して、教員であり研究者でもある先生方からレベルの高い講義を受けてきたことが理由かと思います。

 

―― 本校の機械科ではメカトロニクスや制御の分野にも力を入れています。

 

械科で制御の分野を学ぶことはとても意味があることだと思います。機械科ではものが動く際の基礎的なところをわかりやすく学ぶことができます。さきほど研究のお話のときに、「遺伝的アルゴリズム」とか「高性能なコンピュータ」の話をしてきました。しかしそれら単体だけでは意味をなしません。ものが動くことと一緒に考えることで初めて意味を成すものであると思います。

その意味で、機械科では実際動かすものの強度とか材料の特性や動きなどを学ぶことができ、そのうえで制御系のシミュレーションの手法などを学びます。単にシミュレーションの手法だけを学ぶのか、機械の動きと制御系の両方を学ぶのか。そこは大きな違いであると思っています。

実際、私の研究の対象はロケットであったり衛星であったり、物理チックなところがあります。機械科で学んできた力学はとても得意であり大好きでありましたし、かつ制御の知識も使っているので、宇宙の分野の研究をするうえで佐世保高専の機械科を経験していてとても良かったなと思いました! これは大学に入ってはじめて実感したのですが・・・。

佐世保高専の機械工学科で実施する制御系の研究例

 

―― ほかにも機械科の魅力があれば教えてください!

 

私は機械科しか経験していないのですが、機械科はものをつくっている実感が最も持てる学科ではないかと思っています。コンピュータやプログラムを使ったサービスも世の中にはありますが、日頃の勉強(数学や物理、化学など)がどのように身近なものに活かされているかがイメージしやすいのが魅力ではないかと思います。「なぜあんなに大きく重たい飛行機が空を飛べるんだろう」とか、「車はどうやって動くのだろうか」など、身近な動くもの“なぜ?”や“どうやって?”に少しでも興味がある人は機械科を勧めたいと思います。

3年生のものづくり実習の様子

 

―― 学生時代どのようなことを頑張ってきましたか?

 

3年生までは、ボート部の活動と、勉強に打ち込んでいました。ボート部ではキャプテンをつとめ、勉強では機械科で上位の成績をおさめていました。4、5年生では、3年次編入(結果、名古屋大学と九州大学に合格)の勉強を進めながら、体育祭では副団長、文化祭では司会など、学校行事を100%満喫し、プライベートでも友達と旅行に行くなどエンジョイしきっていました!

 

卒業旅行で海外に行ったときの写真

―― 機械科の雰囲気はどうでしたか?

 

自分たちの経験した5年間ではかなり雰囲気は良かったです。人とのつながりが強く、クラスメイトや先生たちも良かったと思います。高専は5年間同じクラスで過ごすという、特殊な環境なため、横や縦の繋がりが強いです。今まで、中学→高専→大学と場所を変えてきましたが、定期的に旅行に行ったり、ご飯に行ったりするような友達は高専が最も多いと思います。

 

 

<中学生と保護者の方へ>

―― この記事は多くの中学生の皆様も見てくれていると思います。中学生の皆さんに何か一言アドバイスを!

 

たくさんの経験を積みながら良い仲間と出会いたい人はおすすめです!

 

―― 合わせて中学生の保護者の皆様へ何かよろしくお願いいたします!

 

機械科はさまざまな進路が選べる点がメリットであると思っています。私の周りは、よく耳にする大企業に行った友達もいるし、私のように知名度のある国立大学に行くこともできます。高校一年生からレベルと専門性の高い講義を受けることができるので、努力次第で様々な進路が選択できます。

 

 

 

 

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