佐世保高専では、ものづくり技術者教育として、
水中環境を調査する地域貢献事業を独自に進めています。
その対象の一つに水中洞窟があります。
過酷な環境条件のため、大部分がまだ誰も踏み入ったことのない場所、
地球上に残された地理上のフロンティアです。
卒業研究で開発・製作した小型水中ロボットを中心に、
水中洞窟探検調査のテクノロジーに取り組み、
洞窟の現場で実践しています。
類似するプロジェクトは国内(他の高専・大学・研究機構・企業など)には、ありません。
昨年度は福岡県北九州市平尾台の牡鹿洞未調査水没部を対象とする「牡鹿プロジェクト」の
実験機“釜猫”によるロボット探査を行い未知の水中洞窟を発見、その撮影に成功しました。
今年度の「白滝プロジェクト」では、
熊本県球磨郡五木村の白滝鍾乳洞(白滝の穴)にある透明度が高い未調査湧泉が対象で、
改良型実験機“新釜猫”による進入探査を計画しました。
五木村のご厚意により調査許可を得て、
平成21年12月6日(日)にロボット探査を実施。
教員3名(長嶋豊、眞部広紀、浦田健作(大阪経済法科大学))、
電気電子工学科のロボット探査チーム5名
(専攻科1年 山口卓哉君、本科5年 木村昌生君・滝川大介君・山口拓朗君・田崎悟史君)、
ケイビング団体のカマネコ探検隊2名(田中孝宜氏、樋高昭子氏)が参加しました。
今回の探査では、白滝鍾乳洞湧泉深奥部の進入撮影を行い、
未知の水中洞窟を発見することができました。
湧泉の地下水はこの水中洞窟の奥深くから供給されています。
白滝鍾乳洞地下水系の全貌を明らかにするためには、
今回のロボット最奥到達点を越えて進入探査を行う必要があります。
現在、潜航支援システムの改良と自動測量システムの準備を、
到達点突破に向けて進めています。