令和5年度グローカルリテラシーの研究の一部について、学生から紹介してもらいました。
なお、中間発表会・最終発表会のようすについては、以下の記事をご覧ください。
◆中間発表会 グローカルリテラシー中間発表会を実施しました
◆最終発表会 学科横断授業「グローカルリテラシー」の最終発表会を開催しました
貢献度から見る長崎ヴェルカの強み(大山ゼミA)
私たちの地元・長崎県には、2020 年にプロバスケットボールチームである長崎ヴェルカが設立されました。長崎ヴェルカが勝利することで、地元での経済効果も高く、地域の活性化に貢献すると考えられます。そこで、本研究ではプレースタイルの似ているNBAあのチームのウォリアーズと昨年B1リーグで優勝した千葉ジェッツ、そして長崎ヴェルカの 3 チームを、貢献度(EFF)を用いて比較し、長崎ヴェルカの強みや改善点を明らかにすることを目的としました。貢献度(EFF)とは選手を総合的に評価することを可能とし、一目でその選手の活躍を可視化することが出来るものです。結果として、私たちのグループが立てた仮説とはと異なる結果となりました。ですが、その結果から考察し、長崎ヴェルカの強みとしては外国人選手の活躍が大きいことが考えられました。また、改善点として貢献度が低いポジションを担う選手の強化が考えられました。
グローカルの活動を通して、初対面の人と一緒に活動する方法について学ぶことが出来ました。グローカルでは、同じクラスの人と一緒のグループになることは少なく、他クラスの人との協力が必要となりました。活動を始めて最初は、お互いの意見がまとまらずテーマを決めるのに時間がかかってしまいました。ですが、活動を通していく中でお互いの得意な点や不得意な点などが徐々に見つけることができ、役割分担をすることで活動の進みが速くなってきました。最終的には、班全体が仲良くなり、お互いを信頼して仕事を任せることができるようになりました。例えば、会社に入ると初対面の人と同じプロジェクトを行う時があると思います。そのような時に、グローカルの活動で学んだことを思い出しながら活動して行きたいと思いました。

ARを用いた経路案内(堀江ゼミB)
事前学習として、ドローンに関する法律や3Dモデルの取り扱いにおける課題などを学びました。そして、地域課題の解決のために、佐賀県嬉野市にある和多屋別荘という宿泊施設を研究対象とし、現地調査を行いました。その際、館内の複雑な構造により、宿泊客が館内の目的地にたどり着けない、従業員専用通路と宿泊客用通路を混同してしまうといった課題を発見しました。そこで、私たちは事前学習で取り扱った3Dモデルの知識を活かした解決案としてAR(Augmented Reality:拡張現実)による経路案内を考案し、経路案内システムの開発に取り組みました。
グローカルリテラシーを通して、研究を進めていく流れや、スライドやポスターを用いた研究成果の発表の仕方、論文の書き方、そして何より、一つの活動を行う際のチームとしての動き方を学ぶことができました。異なる学科でチームを組み、活動を行うことは初めての経験であったため、学科の知識を活かし、偏りのない役割分担を行ったり、年間のスケジュールを組んだりするのは大変でした。今後、社会では個人での活動ではなく、チームでの活動がほとんどであると思われます。そのため、グローカルリテラシーでのチームとしての活動経験をこれからの社会人としての活動に活かしたいです。



ARを活用した神代小路の観光事業(大坪ゼミA)
長崎県雲仙市にある神代小路はかつて佐賀藩の飛び地として治められていました。現在でも当時の街並みがそのまま残っている神代小路ですが、有効活用されていないのが現状です。 そこで本研究では、最新技術で話題性もあり、建築物の整備等よりも安価で行えることからARを用いた神代小路の観光利用を提案しました。 ARとは拡張現実とも呼ばれ、現実世界に電子機器を通して架空のものを投影する技術です。この技術を使うことで「かつての街並みがそのまま残っている」という神代小路の強みを活かしつつ、観光利用ができると考えました。 このARで技術でかつての人物や、実際の出来事、消失した建物を再現することでより多くの人に神代小路の歴史を知って貰うことが出来るでしょう。
今回のグローカルリテラシーでは1人で研究を進めるのではなく、グループとして班員と協力して発表資料や論文作成を行わなければ行けませんでした。1人で物事を進める時と違い、班員の意見や個々の能力を考慮しながら班の方向性を決めたり、班員への指示出しを行う必要がありとても苦労しました。しかし、同じようなグループでの研究である卒業の前にこのような体験できたことはとても貴重な経験だと思います。研究を進めていく上で学習したポスターやパワーポイント、論文の作成方法だけではなく、今回の経験も活かしつつ、反省点を改善し、2年後の卒業研究に挑みたいです。




ドローンによるスポーツ分析(大浦ゼミB)
私たちのゼミではスポーツの研究にドローンを活用できないか考えました。そこで私たちはバスケットボールでの試合における選手間のスペースと得点の関係性についてドローンを用いて研究することにしました。この研究におけるドローンを使用するメリットとして、ドローンを用いることで人間では困難な体育館天井の中央付近からの撮影が可能となり、より選手間のスペースの空き具合が可視化されます。本校のバスケットボール部の実際の試合の様子を撮影し、その動画をシュートシーン毎に切り取り、得点とスペースの関係を調査し、それをもとにグラフを作成しました。グラフにより打ったシュートにどれだけの期待値があるかが分かり、スペースと得点の関係性が分かりました。
今回ドローンを用いた研究を行ったことで、スポーツ以外にも環境問題や地域活性化などの様々な要素にドローンが活躍できる場面があると考えました。そのため今回得たドローンの知識を身近な問題の解決に役立てたいです。またグローカルリテラシーでの研究を通して、まず研究や論文作成などの難しさを深く実感しました。それと共に研究の楽しさや必要性、やりがいなども知ることができました。高専5年生では専門科目の研究があり、そこではもっと深く、もっく幅広く研究する必要があります。その際にこのグローカルリテラシーでの研究経験を活かしたいと思います。


水素社会実現の可能性について(森ゼミB)
現在、日本で必要なエネルギーの大部分をまかなっているのが、温室効果ガスを排出して環境問題を引き起こす火力発電のような発電方法です。 そこで私達は、 環境に優しく原料が半永久的に存在する水素エネルギーの利用が実用化されれば環境問題も改善されると考えました。しかし、 水素エネルギーを用いた水素社会の実現には、 コスト面など多くの問題があることがわかりました。 このコスト面を解決するために必要とされるものが 「水素キャリア」です。 水素キャリアとは、 何かしらの方法により水素を結合することで、 水素を効率よくコストを抑えて製造、運搬、貯蓄する手段として用いる物質のことであす。 私達はこの水素キャリアに注目し、どのような水素キャリアがあり、 各々どのような長所や短所があるのかということを調べて比較検討することにより、最適な水素キャリアを探っていくという調査研究を行いました。
活動を通して実感したことは 「水素社会実現の可能性で最も問題となっているのがコスト面である」 ということです。お金が原因で環境問題の改善を放棄し、現状の火力発電に頼るというのはあまり良くない状況だと感じました。 私達は、「最も実現性の高い水素キャリアはアンモニアである」と結論付けました。しかし、同時に水素社会の実現には「人々の協力」が最も必要であると考えます。
研究活動をするにあたり、班のまとまりがとても大事だと感じました。森ゼミ B 班では 全員が活発に意見を発言し、仕事を分担して効率よく作業を進めることが出来ました。研究活動を通して、スライドやポスターを用いた発表資料の作成や研究論文の書き方等も学ぶことが出来ました。これらの学びは社会に出ても役に立つ大事なことだと思います。このグローカルリテラシーでの経験を忘れずに、今後の活動に大いに役立てていきたいと思います。



Nuclear Weapons And Humanity(大里ゼミB)
研究テーマは、「日本と他国の核兵器に対する考え方の違いを調べる」です。 このテーマを研究した理由は、世界全体で核兵器を禁止しようと動き、「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組んでいる中、いまだ世界から核兵器の恐怖が消えないのは、国ごとに核兵器に対する考え方が違うからなのではないかと思ったからです。 研究は、まず先行研究から広島県、広島県以外の全国、アメリカの3つのグループの考えについて調べ、その後、実際にゼミメンバーで外国人にアンケートを行い、その結果から考察を行いました。 研究の結果、回答してくれたほとんどの人が核兵器は必要ないと答える中、必要だと答える人もいました。その方々はEU加盟国出身で、ロシアによる軍事侵攻によって日々戦争について考えることが多いからではないだろうかと考えました。 この研究から、核兵器に対する考え方はその人の立場を考慮する必要があると学びました。
グローカルリテラシーの活動を通して、研究の進め方とその大変さを学びました。研究といってもただ知りたいことを調べるだけでなく、先行研究を調べ、実際に実験や調査を行い、結果やそれと先行研究との比較から考えられることをまとめる、とやることが多くて大変でした。また、その内容を発表する際は聞き手がわかりやすいようにまとめるために、メンバーで考え、先生にアドバイスをしてもらいながら進めていきました。大変でしたが他学科の人と1年協力して研究していくのは楽しかったです。 研究の過程でも、普段の学校生活で到底体験できないことがたくさんありました。アンケートをとる際、学外の外国の方と英語で会話をしました。授業で英語を学んでも実際に使うという機会はあまりなかったので、貴重な体験ができました。