在校生インタビュー No.3
T.Mさん(電子制御工学科5年)
出身:長崎県 卒業後の進路:進学(大学)
―佐世保高専に進学した理由を教えてください。
勉強するなら将来役に立つことや自分が興味を持っていたプログラミングに時間を費やしたいと思い、大学受験のない高専を選び、電子制御工学科に入りました。それと、過去に転校で寂しい思いをした経験から、寮に対する憧れがあり、寮生活で一定の人と親しい距離感で過ごせる点に魅力を感じたのも理由の1つです。
―実際に寮で生活してみて、いかがでしたか。
ご飯を食べるときも寝るときもお風呂もずっと一緒に過ごすので、人に対する配慮や社会性を身につけられたと思います。友人との距離も近いので相談もしやすく、進路について悩んでいた頃は毎晩のように集まってお互いの話をしていました。
―寮生会に入られていましたが、どのような活動をしていたのでしょうか。
寮生会は寮の運営をサポートする組織で、具体的には半年ごとの部屋替えのサポートや、毎日行われている点呼の手伝いなどを行っていました。副寮長を務めたこともあります。
生活指導なども寮生会の役目なので、嫌われ役をしなければならず、辛かった出来事もありましたが、今となっては楽しい思い出です。下級生に厳しく指導する分、僕も自分を律して真面目に生活していました。
―課外活動に関してはいかがですか。
いくつかのビジネスコンテストや技術系のコンテストに参加しました。その中でも、対馬にある漂流ごみの清掃を省力化するプロジェクトは大きかったと思います。先生からの提案もあって、進めることになりました。
ごみ清掃を省力化するには、ある程度ごみが溜まったタイミングで清掃業者をお呼びしないといけません。しかし、対馬の通信環境は決してすべて良いわけではないので、リアルタイムで海岸を監視することが難しいのです。
そこで、物体検出ができるAIと携帯電話と通信方法を組み合わせることで、インターネットがつながらない海岸でもごみの状況をキャッチし、清掃業者さんにお伝えするシステムをつくりました。現在もメンバーの交替をしながら、15,6人体制で取り組んでいます。最近は、1つの海岸だけではなく島全体の海岸を対象にするため、通信環境の整備を進めているところです。
自分たちでやる気を出してこのような取り組みをすれば、先生方がいろいろサポートしてくださるので、高専は本当に自由度が高いなと思います。あと、時間的な自由も大きいです。高専の授業は単位制で、1コマ90分の授業が3コマで終わる日もあるので、人によっては14時半に帰ることができます。長期休暇も2ヶ月近くあるので、そういった時間に資格の勉強をしたり、コンテストに参加したりできるのが高専生の強みです。
僕自身も長期休暇を利用して勉強し、2年生で国家試験である情報処理技術者試験の「基本情報技術者試験」に、3年生で「応用情報技術者試験」に合格することができました。
―卒業研究では何をしていますか。
乳牛の行動判別手法を確立しようとしています。乳牛はリラックスしている時間が長いとたくさん乳を出すので、リラックスしている行動を判別することで、目をかける必要のある乳牛がどれか分かりやすくし、酪農家さんの作業を効率化しようとしています。
その際、エコーステートネットワークという、AIの一種で、モノがどのように動いているかを表す時系列データを扱うモデルを使うのですが、動画である以上、静止画よりも計算量が増えるので、コストがかなり必要になるんです。そこをいかに抑えて時系列データを扱うかに挑戦しています。
―今後の進路について教えてください。
大学に3年次編入する予定です。実は先ほどの乳牛に関する研究は、その大学の先生と佐世保高専の先生が持っているテーマを掛け合わせたような内容でして、高専5年生、大学3年生、4年生と3年間継続して取り組むことができます。1つのトピックにじっくり取り掛かることで、自分で研究ができる人材になりたいです。
ただ、将来的には就職したいと考えています。具体的にどのような職業に就きたいかは定まっていないのですが、長く関わっていくと考えると、やりがいがあって楽しいと思えることを仕事にしたいです。
―高専を目指す中学生へ、メッセージをお願いします。
佐世保高専は自由で、成長できる環境が揃っています。また、寮には長崎市、佐賀県など佐世保市外の地域から、それぞれのバックボーンを持った同世代の学生が集まり、刺激を得ることができます。皆さんのことを佐世保高専でお待ちしています!
取材日:2023年12月4日
※プロフィール等は取材当時のものです